失くしたものたち まほらのまぼろし

失くしたものたち

攫うように消えてゆく
手のひらに載せた幸福

築き上げてきたものが
砂の城のように消える

気づいたときには
すべてが無になる

後悔したところで
もとには戻れない

急いでいたら落とした
焦っていたら失くした

どんな言い訳をしても
どんな御託を並べても

現状は変わることはない

失くした、失くしてしまう
奪われた、奪われてしまう

何度も何度も繰り返す
後悔の言葉を繰り返す

終わったことを認めない
まだ大丈夫と思っている

大切だと思っていたものは
今ここにはないというのに

手のひらは空をつかむのに
過去の残滓を惜しんでいる

記憶は呪縛となって捕らえる
手も足も頭も、心の中までも

執着心は時を止めてしまう
先の可能性を閉じてしまう

失くしたものはたしかにある
現実を変えることはできない

傷ついた心はここにある
魂は叫び声をあげている

悲しいときは悲しいと
泣きたいときは泣くと

感情を放出するように
全力で外に発散させる

失くしたものたち
返らないものたち

後悔の谷を越えて
絶望の海を越えて

新たな道に踏み出す
新たな物を手にする


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カテゴリー: Life