夢から醒めて まほらのまぼろし

夢から醒めて

朝日のなかに佇んでいた
ぼんやりとした記憶のなかで

大切な誰かと手をつないで
空を見上げていたような気がした

朝日を浴びた、その場所で
過去の記憶を手繰りよせてみた

ほのかに甘い匂いが鼻腔をかすめ
柔らかくて温かいぬくもりがして

ふっと、目を覚ましてみたら
すべてが遠い記憶のように
あとかたもなく消えてしまった

たしかにあったはずの出来事が
どうやっても思い出すことができず
立ち止まっているしかなかった

目覚めてしまって、今ここにいる
そのことを強く実感したんだ

もう、夢の世界には戻れない
眠りの住人にもなることができない

だから、僕はここで生きていく
ここで地に足をつけて生きるんだ

夢を超えたこの地上の世界で
美しい花々を咲かせるために


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