高速エレベーター まほらのまぼろし

高速エレベーター

あなたは落ちる
どんどん落ちる

とめどなく、果てしなく
転がりながら、ぶつかりながら

落ちて、落ちて、落ちていく
暗くて、真っ黒くて、底が見えない

すべてを飲みこんでしまいそうな
大きな、大きな闇の底に落ちていく

闇の底は、永遠の夜がつづく
光はどこにもありはしない
出口もどこにも見えやしない

どこにいるかもわからず
誰がいるかもわからず

逃げ場がないことに気づいて
ふと吐息をこぼしてしまう

外にあったはずの漆黒の闇は
いつのまにか内側を染めていく

頭も、手も、胸も、お腹も、足も
ひとつ残らず真っ黒にしてしまう

もう、終わりだと思ったときに
瞬くような光の矢が降りてきた

目の前にはエレベーターがあった
開いた扉からは光がこぼれている

導かれるようにそこに歩いていく
エレベーターに乗りこんでしまう

扉が閉まった途端に発進する
闇の底から光の空へと上昇する

知らない世界に、新しい世界に
高速エレベーターは導いてくれる

未知なる場所へ連れていかれる
けれども、それは必然によるもの

然るべき場所にあなたは行くのだ
怖がることはもうなにもない

一足飛びに未来をつくればいい
望む未来をそこに築けばいい


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